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「現場での体験から学ぶ」|report:第3回JOLAファイナリスト・クロストーク

2021年11月9日(火)19時30より、オンラインイベント「第3回JOLAファイナリスト・クロストーク」を開催しました。

自然学校関係のみなさま、関係企業のみなさま、青少年教育関係のみなさま、JOLAファイナリストのみなさまなど、20名程の方々にご参加いただきました。

JOLAファイナリスト・クロストークは、これまでのJOLAファイナリストの方々の魅力をもっと掘り下げて、全国のアウトドア関係者や教育関係者の方々などに知っていただこうという思いで始めた企画です。また現在、JOLA2022のエントリー期間ということもあり、このイベントを通して、全国のアウトドアリーダーのみなさまのエントリーを後押ししたいという我々JOLA関係者の思いもあり、8月下旬の第1回、9月下旬の第2回に続いて、第3回目のクロストークを実施しました。

 

第3回クロストークのゲストは、JOLA2019特別賞の宮村連理さん(NPO法人緑のダム北相模/東京学芸大学附属小金井中学校教諭/東京都)とJOLA2020優秀賞のバハラム・イナンルさん(NPO法人PEACE&NATURE/環境活動家/兵庫県)のおふたりにご登壇いただきました。

まず、ファイナリストのおふたりから、それぞれ、自己紹介をはじめ、ご自身の経歴、取り組まれている活動の理念や内容、これからの展望などをお話いただきました。

 

 

森づくりと今日的な教育的課題|宮村連理さん

宮村さんは、東京学芸大学附属小金井中学校で理科を担当する教員をされながら、神奈川県の北部で、森づくりを行う森林のボランティア活動のNPOの副理事長をされています。

中学校では、東京学芸大学の附属校という職場環境から、様々な研究活動を行っていて、理科教育を専門にメタ認知について研究に取り組んだり、ICT教育、STEAM教育などを実践されたりしています。

「2005年、「NPO法人緑のダム北相模」に初めて参加して以降、林業の専門家と協力しながら、森づくりの活動に取り組みました。その活動では、中学校の部活動のような課外活動の一環で、中学生といっしょに活動を行っています。

具体的には、間伐や枝打ちの作業、植生調査、毎木調査や密度管理などの造林学の取り組みをしたり、新しく開拓したフィールドでは、所有林把握のための境界線調査や森の面積の調査、野生生物の生態調査、竹林の管理をしたりするなど、デジタル機器を活用した森林管理の取り組みをされています。またそれらの活動をテーマに、大学と連携して研究を進めています。」

お話の中で、どの活動も斬新なアイディアのもと行われているという印象で、子どもたちの生き生きとした様子と、ひとつひとつの活動体験の場が、子どもたちの力になっているということがよくわかるお話でした。

ご自身が中学校で教えている生徒の課外活動の場として森づくりをされている中で、「森づくりと今日的な教育的課題」を整理されました。

学校教育では「主体的・対話的で深い学び」というアクティブ・ラーニングが方針として打ち出され、PBL(プロジェクトベースドラーニング)の手法などを通して、自己肯定感や生きる力、非認知能力を育むことが求められています。まさにこの学習方法と目的は、これまでアウトドア活動が行ってきたことであり、このような「野外教育力」がより一層、学校教育に入ってきてほしいと考えているというお話でした。

動画 JOLAファイナリスト・クロストーク 宮村連理さん

 

 

「侘び寂びの心」が大きな波を起こすのでは|バハラム・イナンルさん

バハラムさんは、イラン出身の方で、もともと日本の伝統文化が好きだったことやイラン・イラク戦争での体験がきっかけとなり、1995年の阪神・淡路大震災のボランティアとして日本に来られました。その後、日本人と結婚され、現在は、NPO法人PEACE&NATUREの代表理事として、環境活動家として、神戸市北区大沢町(おおぞうちょう)で活動をされています。

バハラムさんが精力的に活動されているPEACE&NATUREは、グリーンリーダーの育成を掲げて、地元の大学や企業と連携して、「自然から学び、地域や社会の課題を知り、解決に向け行動する人材」を育て、「平和な世界と豊かな地球環境をつくろう」というミッションをもって活動しています。

活動では、「人間力」「食・農」「環境」を柱にして、無農薬を使わないお米・野菜・ハーブづくり、里山保全、エコハウスづくり(再生可能エネルギー)、人間力づくり(現場体験・異文化交流など)、森林保全(神戸市六甲山の森づくり、竹林整備)など、多岐にわたって、様々な活動を実践しています。

バハラムさんをはじめ、PEACE&NATUREのメンバーのみなさんは、SDGsを念頭に置いて活動されているとのことです。 特に、気候変動、少子高齢化、分断社会、食糧危機というキーワードが挙げられました。

バハラムさんは、SDGsについて現在の世界的状況をみると、それは、2030年までに達成するためのゴールとは程遠く、なかなか大きな成果がみられないと思われる。その一つとして、それぞれの地域のコミュニティが機能していないので、市民としての役割を果たすにはどうしたらいいかを考えなければならない。それには、日本の伝統文化である「侘び寂びの心」が大きな波を起こすのではないか。これからの地球を担う子どもたちが、自分ごととしていろいろなことに気づいて、地球のことを考えることができるような環境を整えて、現場での体験を大切にしていきたいというお話でした。

動画 JOLAファイナリスト・クロストーク バハラム・イナンルさん

 

 

おふたりのお話は、「現場での体験から学ぶ」ことの重要性と、そのためのアウトドア活動の価値を再認識する内容だったと思います。

ファイナリストおふたりのお話に続いて、もう一方、JOLAの創設当初から活動に対してご支援いただいているパタゴニア日本支社の鈴木啓紀さんに、ゲストとして加わっていただき、ファイナリストとのクロストークをしていただきました。 

 

本業と副業の相乗効果が生まれていること/いかに意識が乏しい人にもメッセージを伝えていくか|鈴木啓紀さん

パタゴニア社は、ウェアを中心としたアウトドアメーカーとして非常に有名な企業ですが、それと同時に環境活動にも力をいれており、今回のおふたりのお話とも密接につながるのではないかと思いました。

鈴木さんからは、おふたりのお話の感想として、パタゴニア社で働く会社人としての自分に通じる話だったという前置きから、森づくりと教育課題のつながりに共感でき、宮村さんのような本業と副業の相乗効果が生まれていることに刺激を受け、場をつくって、子どもたちの力ですすんでいく教育現場の重要性をあらためて認識したとのことでした。またバハラムさんSDGsのお話は、パタゴニアとしても共感する内容で、環境への意識が高い人だけを対象に活動するのではなく、いかに意識が乏しい人にもメッセージを伝えていくかが課題と感じているというお話でした。

 

クロストーク

バハラムさんから宮村さんへ、学校の活動の中でリスクマネジメントがどのようになされているのかという質問があり、これまでの活動の中で事故事例がないということを踏まえ、林業作業は危険性かなり高いので、非常に大きな緊張感をもって取り組んでいるということと、保護者からの信頼を受けているということなどのお答えがありました。

また、活動の効果として、プロの林業家の助けを借りて活動をしていることから、活動に関わっている大学生がその林業の会社に就職し、さらにその人が後輩を育てるという循環を生み出しているということでした。

 

宮村さんからバハラムさんへ、PEACE&NATUREに多くの企業からの支援が寄せられているのには何か理由はあるかという質問があり、バハラムさんのお子さんの学校での保護者間のつながりから進められたということと、地元の大学との協働のもと、活動に関わっている学生に対して、企業側は学生に支援するという希望を持っているということなどのお答えがありました。

 

 

今回のクロストークでは、様々なプログラムの中で、そこに参加する子どもや、ボランティアとして関わる学生が、ひとつのミッションに対する協働作業を行い、社会に出る前に、机上の話だけではなく、実際に体験して社会を知る、考えて実行できる人材になることを目指すという、まさにJOLAが掲げるミッションである「アウトドアでの人づくり」を具体的に教えていただいた、とても貴重な時間となりました。

また、おふたりから、このJOLAの取り組みを、ご自身の次のアクションにつなげるという、力強いお言葉もいただきました。

 

報告:JOLAファイナリスト・クロストーク 企画グループ

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