鹿谷 麻夕
「サンゴの海を100年後の子どもたちに残したい」
しかたに自然案内のミッションは「沖縄の海の自然を人々に伝え、海と人々をより良い形で繋ぎ直すこと、それにより、美しく豊かで健やかな海を次世代に残していくこと」です。
1998年、世界的なサンゴの白化により、沖縄の浅瀬のサンゴや生きものたちが激減しました。同時に、一般社会の中では、サンゴのことも海の変化もあまり理解されていないということにも気づきました。そこで、海洋生物学を学んだ私とカニ類の研究をしていた夫と二人で海の自然観察と環境教育を始めました。
私たちの主な活動対象は、沖縄の言葉で「イノー」と呼ばれるサンゴ礁の干潟や浅瀬と、そこに住む地域の人々です。海に囲まれた沖縄ですが、海は危ない場所とされ、海の自然や生きものに触れる機会が少なくなっています。そして社会にも学校教育にも、海やサンゴ礁を学ぶ機会がありません。また、赤土汚染や埋立計画などもある沖縄で、地域の自然を本当に守れるのはどこかの専門家ではありません。そこに生まれ育ち、昔からその自然を見て、見守る人、何かあれば変化に気づける人が地域にもっと必要だと感じました。私たちは地域の人々が海を体験し、海を理解し、海を好きになって、やがて守っていこうと思う人々を増やしたい、そして100 年後もサンゴの豊かな海を沖縄に残したいという思いで、海を伝える活動をこれからも続けていこうと思います。
-profile-
鹿谷 麻夕 SHIKATANI MAYU
しかたに自然案内 代表
東京出身。大学卒業・就職を経て、生命が生まれた海を学びに1993年沖縄へ。琉球大学理学部卒業、東京大学大学院中退。2003年よりしかたに自然案内として、県内の市民や学校を対象に海の自然体験や保全活動と環境教育を行う。サンゴ礁・海草藻場・干潟に暮らす生きものと自然、海ごみや温暖化をテーマにプログラムや教材作りを行なっている。2022年度沖縄県環境保全功労者。