蟻正 敏雅
「人と自然の境界に立ち、足元の余白に未来を描く」
私は10代の頃「学校は社会への準備の場なのに、実際は社会とつながる力を養えない」という違和感を抱えていました。高校を中退し、飲食や服飾業界に携わる中で、食や衣服の大量消費・廃棄に疑問を持ち、原材料の生まれるところを拠点にしたいと思い現在の美作市上山に移住しました。
と或る農園では特別なプログラムではなく「やりたいことがある人の挑戦を全力でサポートする」ことを重視しています。与えられた環境ではなく、自らが選んだ環境でこそ本当の問いと行動が湧いてくると感じています。常に「問いを持ち続けること」を大切にし、例えば「雑草=不要なもの」ではなく「なぜここに生えたのか?」と考えることが学びや新しい問いにつながると思っています。農業、古民家改修、食文化、教育、テクノロジーなどを横断し、柔軟な活動を試みています。
今後は「産まれるから育つ環境」を整えることを目指し、助産院とフリースクールの普及に取り組む予定です。単なる「先進医療や義務教育の代替」ではなく、一人ひとりに適したお産環境や学びの場を公共の仕組みとして確立することを考えます。助産院は自然分娩の選択肢を守り、地域と医療機関の連携を強化。フリースクールは、地域との関わりを通じ、子どもたちが「問い」を持ち続ける力を持続的に育める場にする。美作市を拠点に、全国へ展開するモデルケースの構築を目指しています。
-profile-
蟻正 敏雅 Arimasa Toshimasa
一般社団法人と或る農園 代表理事
株式会社にまつわるエトセトラ 会長
岡山県出身。高校中退後、飲食やアパレル業界で働く。大規模な震災や豪雨での災害を前に、「地球の上で人が生きるとは?」と考えるようになる。ボランティア経験や携わった業界の社会課題などをきっかけに、自然と人、人と人の関係性を見つめ直すため、現在の拠点へ。棚田再生、地域資源の活用を通じて、学びと気づきの場を創出。