ジャパンアウトドアリーダーズアワード|Japan Outdoor leaders Award

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黒松内ぶなの森 自然学校 高木晴光
  • OUTDOOR LEADERS CLUB
  • 自然体験を通じて、人生で必要なことを見極める、『洞察力』を身につける。
  • 海も山も川もすべてある町、北海道寿都郡黒松内町。ここを拠点に、黒松内ぶなの森自然学校を運営しているのが高木晴光さん。今回は高木さんが自然学校を通じて実践していることや、どのようなことを考えて日々の活動に取り組まれているかについてお伺いしました。

OUTDOOR LEADERS CLUB

「環境・自然・社会教育事業への強い関心から、
自然学校を開校しました。」

自然学校を始めるきっかけとなったのは、大型健康施設やリゾート施設、スポーツクラブの企業運営の仕事に携わっていたことです。それらの仕事を通じて、施設を自分で運営する面白さを実感できたんですね。
そのことに加えて、もともと子どもたちへの自然体験活動を手がけていきたいという夢を持っていたことから、環境・自然・社会教育事業への関心が徐々に強くなっていきました。 そして1999年4月、北海道・黒松内町で自然学校を開校したのです。

現在も純酪農地帯にある元小学校を拠点に、「自然体験型、地域産業体験型学習プログラム」の推進、「自主・自律した次代を担う人材の育成」、「子どもを中核とした地域交流促進事業」の展開を、3つの主要事業とした地域交流を創出しています。
高木晴光

「大人が、子どもたちに“楽しめる場”を提供しなければならない。」

来訪者に懐深い自然の事象に出会わせる、触れさせる、体験させることが、自然学校の役割のひとつです。たとえば、毎年夏におよそ1ヶ月間、子どもたちが自然学校に住み込むロングキャンプ。コンセプトは「全開遊び・大家族」で、最後の1週間には海・山・川など、自然のあらゆる場所を利用した2泊3日の行動計画を、子どもたち自身で企画し実行するイベントもあります。大人顔負けのイベントを考え、楽しんでいる子どもの笑顔を見ると、私まで嬉しくなりますね。そのように、子どもたちが自ら興味を持って楽しめる場所を提供し、人生を送る上で糧になる体験を積ませていきたいと考えています。

「自然が、子どもの“洞察力”を育てる。」

今の子どもたちを見て感じるのは、ゲームやインターネットに『遊ばされている』ということです。一人で遊ぶことに慣れている一方で、友達とどのように遊ぶか、他人と関わる居場所をどのように創るかを考えることに慣れていないからかもしれません。
自然学校にはじめて来る子どもの中には、他の子に話しかけられなかったり、自ら行動できなかったりする子がいます。しかし日が経つにつれて、年齢も、考え方も、生活観も異なる子と一緒に暮らしていくためのコミュニケーションの図り方や自然での遊び方を自ら知ろうとしていくのです。そのことから、自分で考えて話しかけたり、遊べるようになり、『自分の居場所』をつくっていくようになっていきます。これが、人が生きていくために必要な洞察力を身につけることにつながるのだと思いますね。

「生きるために必要な力を身につけた子どもたちが、
コミュニティをつくる」

最近では小さな頃に自然体験をしてきた子どもたちが、大学生や社会人になって遊びに来たり、ボランティアとして戻ってきたりすることがあります。成長した子どもたちと話をしていると、自然の中で磨いた洞察力を活かし、豊かな生活を送っているなと感じます。小さな頃から見てきた子どもたちが大人になるまで見届けられる、学校の先生とは違った魅力を味わえますね。

開校から20年近く経ちましたが、これまで自然学校に来た若者や子どもたちとコミュニティをつくり、着実にネットワークを広げてきました。私たちの自然学校の基本姿勢は、「人が相互に影響を与えながら自ら育つ」「地域内外のさまざまな人々が交流する、多様な仕組みを作り続ける」です。
今後も成長した子どもたちと付き合っていき、コミュニティをさらに大きくしたいと考えています。

「スタッフ育成で大切なのは、
実践の場である。」

若いスタッフを育てるには、自分で企画したことをプログラムや事業として実行する経験を積むことが大切だと考えています。「仕事を預け、自分で動かすこと」が、スタッフ育成において私が大切にしていることですね。そのようなことが実践できるのが、田舎ならではの良さです。
具体的な例でいうと、黒松内町は3100名と小さな町のため、町長をはじめとする福祉施設や商店といった各施設の決裁者に、自分達で企画したことを直接提案できます。もし大きな都市の場合は組織の規模も大きいため、決済者と会うことすら難しいはずです。私の場合、地域社会の“顔が見える”人間関係がある環境で実践の場を経験させることから、スタッフを育ててきました。

「東日本大震災を通じて実感した、スタッフの成長。」

スタッフ育成という観点で特に印象的だったのは、2011年3月に起こった東日本大震災での出来事です。大震災が起こった日、私たち自然学校のスタッフはすぐに東北に向かい、支援活動にあたっていました。その際に印象深かったのは、スタッフたちが現地の団体や施設の方と強い関係性を築いてゆくのを目のあたりにしたことです。
洞察力から被災地の方々の気持ちを考えて接し、受け入れられるスタッフたちの姿を見られたのは感慨深かったです。
次の世代を担う人材を育成できていると実感した瞬間ですね。

黒松内ぶなの森自然学校のフィールドワーク

小学校だった校舎を拠点に、黒松内の自然を幅広く体感できるプログラムが満載です。

01. 校舎の背景に並んでいるのは、北海道が誇る壮大な山々 02. 黒松内ぶなの森自然学校のエントランス 03 . 職員室だった部屋を、スタッフが使用する部屋として活用 04. 若いぶなの木が生い茂る「歌才ブナ林」 05. 四季折々の彩りを楽しみながらハイキングできる「ぶなの森」 06. 輝く星が一面に広がる黒松内の夜空

MOVIE

インタビュー動画
フィールドワーク動画
PROFILE
千葉県船橋市出身。学生時代は農学部に所属し、農業工学を専攻。
貿易商社、観光・不動産開発、社会教育事業の会社での勤務を経て、1992年4月に、北海道自然体験学校NEOSを設立する。
その後独立し、1999年4月に特定非営利活動法人ねおすを法人登
記。今に至るまで、黒松内ぶなの森自然学校の運営委員長を務めている。現在も各種自然体験型プログラムの提供を中心に、「自然と人、人と人、社会と自然」をテーマとした地域や人づくり、コミュニケーショントレーニングなどを通じて、地域づくりのアドバイザーとして活躍中。
高木晴光
FAVORITE
これまでに、32万キロ乗ってきたワゴン車『Nature Wagon 3G』号。目的地に向かう際には必ず乗る、自然学校の運営とともに歩んできた愛車。
3つのGが表わすのは、「ガイド・ガール・ジイさん」。
ワゴン車『Nature Wagon
3G』号
ACCESS
黒松内ぶなの森自然学校
住所  北海道寿都郡黒松内町南作開76
TEL  0136-77-2012
公式HP http://www.buna-cross.org/
[車の場合] 道央自動車道黒松内JCTから30分
[電車の場合] JR黒松内駅より車で20分
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