ジャパンアウトドアリーダーズアワード|Japan Outdoor leaders Award

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  • 自然体験フォーラム アウトドア活動、自然体験活動を通じた教育・人材育成の重要性と今後についての座談会。
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OUTDOOR EXPERIENCE FORUM 自然体験フォーラム アウトドア活動、自然体験活動を通じた教育・人材育成の重要性と今後についての座談会。

自然体験の大切さ、
アウトドアフィールドでの
人づくりの大切さ

アウトドアのフィールドで活動する方々は数多く存在しますが、アウトドアを通じて「より良い未来を支える人を育てたい」と思って活動している方や、「体験そのものを大切にした人づくり」を実践している方にスポットを当て、自然体験の重要性を世間に認知させるきっかけ作りや、自然体験の指導者のモチベーションを高めるための場が、「ジャパンアウトドアリーダーズアワード」です。
アワードの選定基準等を決めているのが、運営委員会のメンバーです。毎月1回会議を開催し、さまざまな議題で討論しながらアワードの概要を決定しています。
運営委員メンバーのディスカッションの様子をご紹介しましょう。

MEMBER フォーラム参加メンバー

  • 山路歩さん
    NPO法人体験学習研究会代表理事/日能研調査開発室キャンプ担当
  • 砂山真一さん
    (一財)ポジティブアースネイチャーズスクール 代表理事
  • 中澤朋代さん
    松本大学総合経営学部准教授/NPO法人日本エコツーリズムセンター共同代表理事
  • 山田俊行さん
    トヨタ白川郷自然學校學校長
  • 高瀬宏樹さん
    国立赤城青少年交流の家
  • 佐藤繁一さん
    NPO法人国際自然大学校事務局長
  • 増田直広さん
    公益財団法人キープ協会 環境教育事業部事業部長

「ジャパンアウトドアリーダーズアワード
立ち上げへの想い…とは?」

中澤さん
「いよいよ、ジャパンアウトドアリーダーズアワード(JOLA)がスタートする訳ですが、このアワードを立ち上げてきたメンバーそれぞれの想いを聞きたいと思います。まずは山田さんからお願いします。」
山田さん
「全国各地の自然学校や自然体験に携わる方々が集まって、議論を重ねてここまで来た訳ですが、私自身は今までにない動きで、とても面白いなと思っています。このアワードを通じて、日本の中でアウトドア体験のひとつの潮流が生まれるんじゃないかと期待をしています。いろいろな方に応募してもらい、どんどんとアワードの価値が広がっていくことを期待しています。」
高瀬さん
「僕は子どもたちをどうやって育てていくかが、これからの社会のテーマだと思うんですよね。子どもたちを学校でも家庭でもない、自然体験の中で人を育てるときには、良い自然環境があればいいということではなく、そこにはいい指導者がいなければならないと思うのです。その指導者に対してスポットが当てられるアワードができたことにはとても期待しています。」

中澤さん
「そうですよね、これまでアウトドアのプログラムや団体に対するアワードはありましたが、指導者にスポットを当てるアワードはありませんでした。初めてのアワードの立ち上げなので、さまざまな議論を続けて試行錯誤しながらここまで来ましたね。(笑い)」
佐藤さん
「それぞれの業界の中で、指導者のことを語り合うことはあったのですが、この会議に参加して、川の指導者や山の指導者など別ジャンルの方々と意見交換をする機会が増え、指導者がどうあったらいいのかと日本全体として考えるようになりました。僕の周りでは『これまで自然体験の指導者が社会から評価される場面が少なかったから、面白い試みだね』…と、好感触をいただいています。アウトドアの指導者の社会的評価がどういうものなのかということを、このアワードを通じて発信していければと思っています。」
山路さん
「参加メンバーがさまざまな分野のリーダーなので、僕自身はとてもいい刺激になっています。いろいろな方とお話しをしている中で、自分が所属する団体との活動方針の違いなどが分かったので、このアワードが広がれば、日本のアウトドアが活性化していくということにもつながると思います。アワードに応募するにあたり、自分のやっている仕事の魅力が言語化され、もっと表に出て行くとといいなと思っています。」
増田さん
「僕は今、環境教育に携わり、インタープリター(自然と人との橋渡し役・人と人の橋渡し役)をしています。そのきっかけは、すぐ近くを流れていた渡良瀬川で釣りや川遊びをしていたことと、そうした体験を共にしてきた家族や友達がいたこと、そして学生時代に出会った恩師の存在があると考えています。つまり、自然体験と僕に刺激を与えてくれた人との出会いが大きかったと思うんです。今回、自然体験と人づくりをキーワードにしたアワードに参画することができて嬉しく思っています。」
砂山さん
「私の施設は京都や神戸などの都市部の子どもたちを各地域に連れて行き、そこで面白く自然と関わっている人に自然の素晴らしさを教えてらい、子どもたちもいい影響を受けていると思っています。このアワードでは、地域で活動している人にスポットが当たって全国的になり、そのような人々と関わる子どもたちが増えていけばいいな…と思っています。」
中澤さん
「一般的な賞の受賞者はその分野において有名な人になりがちですが、このJOLAはこだわりを持って自然の中で活動をしている全ての方が応募可能なのが大きな特徴ですよね。日本各地で人づくりが行われていることを広めていくためにも、このアワードができることは意味のあることではないかなと思っています。」


「なぜ自然体験が人を育てるのか?」

中澤さん
「人づくりをするときに、なぜ自然の中でなければならないのでしょうか?」
佐藤さん
「自然は常に変化しているから、その変化に対応していくことが成長の要素になると思うのです。ある研究によると、実際にキャンプに参加して、天候的に苦労をした子どもたちの方が、キャンプ中、安定した天気で過ごしていた子どもたちより自主的に動くようになっていたそうなんです。自然体験の良いところはアクシデントや変化が起き、予定調和では物事が進まないところが教室での学びとは違うところですね。そこにいる指導者の色や空気によって、グループが積極的になったり、慎重になったりと、リーダーや仲間たちからお互いに影響されて成長している。それが自然の中での良さだと思います。」
高瀬さん
「人間は自然の中にいると自然になれる。自然の中でありのままになれた自分が、さまざまな体験をすることによって染み込みやすくなるんじゃないかな。」

中澤さん
「キャンプは構成者によるハーモニーで作り上げられるものだと思っていて、私がやっていたキャンプでは、人間だけでなく全ての生物は仲間だという考えなのです。仲間だから尊敬するところもあるし、自然に対して理解をしてコミュニケーションを取り、自然観を自分の中に取り入れることも重要な学びです。良い関係づくりには人間社会だけでなく、自然界にも配慮が必要ですし、それらは自然の中でこそ学べることなのではないでしょうか。」
山路さん
「中澤さんがおっしゃっいていた通り、人間同士は言葉でコミュニケーションが取れますが、自然という仲間は言葉でのやり取りや交渉ができないので自分の思い通りにならないものと対峙できるという意味ですごい力があると思います。そういうことが実感できるので、自然に行く意味があると思うんですよね。」
増田さん
「自然の中ではたくさんの気づきを得られます。まずは自然への気づき。『自然ってきれいだな、不思議だな、こわいな、繊細だな…』。間接的な情報からではなく、自然の中での直接的な体験は自分のものとして心に残ると思います。同時に人への気づきも得られます。人というのは自分自身と他者です。『私は自然の中で過ごすこと、意外と好きだったんだな』『あの人、頼りがいあるな』などの気づきが自身や他者の理解につながるのではないでしょうか。」
砂山さん
「自然の中に入ると誰もがフラットな関係性になるんじゃないかな。フラットな部分から自然と向き合って、いろいろな学びや成長があると思うんです。」
山田さん
「先ほど“人づくり”というキーワードが出てきましたが、そもそも人が成長するというときには、ただ自然の中にいればいいということではなく、人々と関わりながら自然の中で学ぶことが、人の成長には不可欠だと強く思っています。そして、人を成長させるのに、指導者やリーダーなどが支えているんだと実感しています。」
山路さん
「自然体験での人づくりとは、自分で自分を育てられることと、自分以外の他者と一緒にいて育っていけるという2つがテーマなんだろうなと思っています。 これらが未来の人づくりに繋がると信じています。」

「アウトドアのリーダー、指導者とは?」

山田さん
「あるポリシーを持った教育スタイルで自然の中で人づくりをしている人が、アウトドアのリーダーだと思うんですよね。手法は各団体によって違うと思うのですが、それが社会にとって必要なんだということを、このアワードで認知が広がるといいですよね。」
中澤さん
「遊びながら学ぶ場所をあえて造らなければならなくなった時代になった昨今、周りの大人がそういうリーダー的存在になった方がいいんです。専門的な技術を持っている人だけでなく、子どもの隣にいるような家族のような存在でも、そうした意識を持っている人が指導者と言えるのではないでしょうか。」
増田さん
「僕は『普段着インタープリター』でありたいと思っています。活動の時だけインタープリター=指導者になるのではなく、いつでもインタープリターであること。ちょっと格好良く言うと、インタープリターとして生きるという感じでしょうか。今の僕があるのも、周りに普段着インタープリター的な人達がいたからだと思いますし、今でもそんな出会いがあります。今回のアワードではそんな魅力的な人達に光が当たると嬉しいです。」
佐藤さん
「僕はよく『アウトドアのプロなんですよね?』と言われるのですが、アウトドアのプロって何?と言うと、山岳ガイドさん、僕のようなキャンプの指導者だろうと、自分の得意な分野や専門性に秀でたところを、どう社会の価値に照らし合わせて世の中に伝えていけるかだと思います。世の中の人に知らしめられなければ、結局はなくなってしまう。
それらの知識は多くの人と共有することにより、人が育ったり地域が守られたりという社会的な活動へと変化をする。結果としてその人をハブ(仲介者)として自然活動が広がっていき、その人に関わることで人が育っていく、プラスアルファの効果が生まれていく、そういう人がプロの役割かなと思っています。
高瀬さん
「アウトドアの活動に指導者は必要なのか?と、一般的なイメージがあると思うんですよね。昔の日本の社会では、子どもは地域の宝だから、地域全体で子どもを育てていくという文化がありました。悪いことをすれば叱ってくれるおじさんがいたり、自然の中での遊びは地域の先輩が教えてくれるという仕組みがあったのですが今は無くなりましたよね。我々みたいなアウトドアのリーダー、野外での指導者が必要になり、計画的に、意図的に自然体験を提供しなければならない時代になりました。我々のような指導者の存在意義を考えたりする中で、そういった人々にスポットが当たってきているのではないでしょうか。私たちは学校の先生でも体育の先生でもない、自然体験活動の指導者なのだと、そのように確立した職業になるといいな…と思っています。」
山田さん
「高瀬さんが先ほど『アウトドアに指導者は必要なのか?』と問題提示をされていましたが、アウトドアに指導者が必要なのではなく、人づくりに指導者が必要なのです。アウトドアの活動にはインストラクターがいても、人づくりをするからこそ指導者や先達者が必要だと私は思っています。我々が普段している活動は、人づくりをしている自負があるため、指導者が大切だと実感しています。ですから、今回のアワードもそのような人づくりをしている指導者に光を当てなくてはならないと思うのです。」
高瀬さん
「自然体験の指導者は何を教えてくれるのか…と疑問に思われる方が多いのですが、その答えが“人づくり”ではピンとこないと思うので、何を教えてくれるのかを明確になるような世の中になってほしい。このアワードをやることで指導者の能力にスポットが当たってくれるといいなと思っています。」
中澤さん
「自然体験の指導者はみんないいことをしていることは分かっているのですが、多くの事例が集まってさまざまな面が見えてくるといいなと思いますね。」
山路さん
「このアワードに応募するときには、自分のことを自分で評価しながらエントリーシートを書いていくと思うのですが、自分の仕事はOKなんだな、未来に繋がっているんだな…と、自分自身が確認できる場であるといいと思います。自分で自分を評価するって難しいと思うのですが、自然体験活動を世の中にアピールすることにつながりますからね。」
中澤さん
「文字にしてみると『こういうことだったのか』と気付けるかもしれませんしね。」
砂山さん
「今回がはじめてですが、今後ずっとアワードを続けることで、自分自身の取り組みで賞がもらえるんだ…と思ってもらえ、仕事に対してのモチベーションを上げられるようなアワードになってほしいですね。」