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北海道のアウトドアの取組みが日本のアウトドアを変える!|report:第4回JOLAファイナリスト・クロストーク

2022年1月17日(月)19:00より、オンラインイベント「第4回JOLAファイナリスト・クロストーク」を開催しました。アウトドアの分野で活躍している方々、JOLA支援者の方々、歴代ファイナリストの方々など、20名程の皆さんにご参加いただきました。

JOLAファイナリスト・クロストークは、これまでのJOLAファイナリストの方々の魅力をもっと掘り下げて、全国のアウトドア関係者や教育関係者の方々などに知っていただこうという思いで始めた企画です。また、JOLAの認知度向上や今後のアワードエントリー者を増やしたいという我々JOLA関係者の思いもあり、継続して開催しているものです。

今回のゲストは、JOLA2018優秀賞の吉元美穂さん(NPO法人登別自然活動支援組織モモンガくらぶ事務局長、北海道アウトドアネットワーク推進委員会委員長)とJOLA2020優秀賞の新野和也さん(NPO法人どんころ野外学校、北海道アウトドアフォーラム副実行委員長)のお2人にご登壇いただきました。また、JOLA支援者として登壇いただいたのが小野浩二さん(株式会社秀岳荘社長、北海道アウトドアフォーラム実行委員)ということもあり、「北海道のアウトドアのいま」をテーマに開催されました。

まず、ファイナリストのお2人から、それぞれ、自己紹介をはじめ、ご自身の経歴や取組みの理念、具体的な内容、これからの展望などをお話いただきました。

 

登別市ではどんなことができるか、北海道では何をするか、さらにJOLAとどのように協働できるか。|吉元美穂

吉元さんは、社会教育施設を中心に北海島登別市で地域づくりに取組んでいます。活動フィールドは、沢登りやカヌーを楽しめる川や天然温泉、スキーやスノーシューを楽しめる山などで、子どもを対象にした活動は勿論、大人対象のプログラムも展開しています。フィールド管理や環境保全にも積極的に取組んでいます。目指す未来は「持続する社会」。自然・産業(地域経済)・人間の三者が調和を保ちながら発展する地域を目指しています。

現在、登別市内で①ネイチャーセンター、②市民活動センター、③子育て支援拠点の3ヶ所を拠点に活動しており、各拠点でエンドユーザーとのコンタクト、アウトドア活動の入り口普及を行っています。NPOの会員は230人で登別市の人口4.9万人の0.5%とのことで、これを1%まで増やしていきたいそうです。会員として、子どもから大人まで多様な方々が参加しています。

これまで、市民参加をキーワードに活動してしており、自然(環境保全)・産業(地域経済)・人間(人づくり)を調和させることを意識してきたそうです。2010年からは、森の力を活かして地域課題へのアプローチを進め、今は変化する現代社会の中でどんな取組みをしてくべきか考えています。

国内アウトドア市場の拡大は喜ばしいことですが、その中で社会教育施設や自然体験活動主体の自分達は何をすべきか、何を発信すべきか検討しているそうです。地域課題と向き合う中で、例えば「子育て世代への切れ目ない支援」という課題に対して3拠点を持っているからこそのアプローチをしています。また、学びの場を深めるためにも多様な役割を担う指導者育成について検討しています。登別市ではどんなことができるか、北海道では何をするか、さらに全国ネットワークであるJOLAとどのように協働できるか、これらを連動させる必要があると考えています。

北海道アウトドアネットワークは、民間と国立日髙青少年自然の家との協働を通して、人材育成やリスクマネジメント、社会課題への対応をする取組みで、まだ始まったばかりということもあり、JOLAをはじめ多様な主体と協働をしていきたい、そして注目をして欲しいとのことでした。

動画 JOLAファイナリスト・クロストーク吉元美穂さん

 

 

体験活動は建築と同じ|新野和也

新野さんは、「常に備えよ」をモットーに活動しています。活動拠点の南富良野町は、人口約2,400人の町で、近年アウトドア事業が注目されているそうで、人口の1%がアウトドアガイドということです。活動しているどんころ野外学校は、①アウトドア事業、②総合型地域スポーツ事業、③地域福祉促進事業の3つを柱にしています。

アウトドア事業では、カヌー体験やスノーシュー体験、カーリング体験などをしています。総合型地域スポーツ事業では、放課後の子どもの居場所づくり、歌声喫茶などをしており、地域福祉促進事業では、デイサービスを行っているそうです。

新野さん個人は、リスクマネジメントをキーワードに活動しているそうです。自身の体験を通して、楽しむ活動から、「どのように安全に楽しめるか」にシフトするようになりました。現在、6つの団体に関わりながら、安全で楽しく活動するための普及啓発を行っています。新野さんは、「体験活動は建築と同じ」、という理念を持っています。これは、頑丈な基礎・土台の上に建物があるということで、「正しいリスクマネジメントの上にプログラムがある」と言い換えることができるというものです。リスクマネジメントは、お客さんからは見え難いこともあるからか、普及が進まない状況があるそうです。

今後のミッションとして、ガイドとして北海道の自然や野外での体験活動の楽しさを伝えることと、指導者として後進を育成することを考えています。後者に関連するものとして、北海道アウトドア資格制度があります。2021年にアドベンチャー・トラベルのワールドサミットが行われました。これを契機に、北海道のリスクマネジメントの意識を高めようという動きが起きています。これには行政からの支援がありますが、アウトドアガイドの意識を高める必要があると感じているとのことです。

多くのアウトドアガイドが安全の意識を高めていくためにも、これからも活動を続けていきたいと考えています。海外では、アウトドアガイドのステータスが高く、子ども達のなりたい職業となっているそうです。そのためにも安全の意識を高めることは必要と考えています。

動画 JOLAファイナリスト・クロストーク新野和也さん

 

 

お2人のお話に続いて、JOLAの支援者である秀岳荘の小野浩二さんに、ゲストとして加わっていただき、ファイナリストとのクロストークをお願いしました。 

スタッフが楽しんでくれることが大切。お客さんは理解者や友達になる。|小野浩二

まず、小野さんから、吉元さんへモモンガくらぶの人材育成に関する質問がありました。吉元さんからは「その人の興味や生きがいと組織や地域が合っていくと良い。その支援をしている」との回答。小野さんからは「アウトドアショップも同じ。登山が好きなスタッフには福利厚生で交通費を応援する。後日、スタッフから登山に関する情報発信が行われ、それを見たお客さんがグッズを買いに来てくれるという循環となっている。スタッフが楽しんでくれることが大切」というお話がありました。

さらに、モモンガくらぶのプログラム参加者はどのエリアから来るのかという質問があり、「指定管理施設なので、地域住民を対象とする部分が大きい。NPOとしては広く開拓する必要がある」との回答がありました。

続いて、新野さんへは、「『体験活動は建築と同じ』という考えが心に響いた。いろいろな分野に通ずるものではないか」という感想がありました。

次に、「アウトドアガイドを国家資格にしてはどうか?」という質問があり、新野さんからは「そのようにできたら良い。ガイディングの技術は高くても、リスクマネジメントの意識が低いと、アドベンチャー・トラベルでやって来る意識の高いお客さんに対して残念なことになる」との回答がありました。小野さんからは、これらの課題に対応することが、北海道アウトドアネットワークやJOLAの役割ではないかというコメントがありました。

今度は吉元さんから小野さんへ「小野さんにとって北海道アウトドアフォーラムは異業種交流会とのことだが、参加者をどのように見ているか?」との質問。小野さんからは「普段接点のない方々なので、秀岳荘のことをざっくばらんに言ってくれる。帰ってから改善点を実行できる。新鮮な気持ちになれる機会」との回答がありました。

新野さんから小野さんへの質問は、「秀岳荘に行くと、店員の顔がいつも生き生きとしている。スタッフへの応援をしていることがつながっていると感じた。その他の要因は?」。小野さんからは、「『良いものを安く、親切に』が秀岳荘のモットー。そのために、売り場担当に全て託している。ノルマもない。自身の責任に基づいて仕入れた商品を購入してくれるお客さんは理解者や友達になる。それが生き生きとした表情につながっているのかもしれない」とのお話がありました。トレランなどの大会参加も出張としていて、それが接客にも活かされているとのお話もありました。

 

北海道におけるアウトドアの取組みから、日本のアウトドアへの提言までと、お三方のお話にも引き込まれるクロストークでした。最後にはJOLA運営委員長の山田より「吉元さん、新野さん、小野さんに元気をいただいた。北海道のアウトドアの動きは、JOLAが考えるソーシャルアウトドアの理念と重なっていく」とのコメントがありました。北海道のアウトドアの取組みが日本のアウトドアを変える!そんなことを感じた1.5時間でした。登壇いただいたお三方、参加くださった皆さん、どうもありがとうございました。

報告:JOLAファイナリスト・クロストーク 企画グループ

 

■これまでのJOLAファイナリスト・クロストーク レポート■

第1回report「みなさんで夢を語り合いましょう!」 ゲスト:徳田真彦さん(大阪体育大学講師)、細川和朗さん(NPO法人自然体験共学センター理事長)、山根史義さん(日本ゴア合同会社)

第2回report「第一次産業から、教育、人づくり、さらに社会づくりに。」 ゲスト:永菅裕一さん(NPO 法人棚田LOVER’s理事長)、中田無双さん(北都留森林組合参事、NPO法人多摩源流こすげ副代表理事)、森光さん(株式会社ゴールドウイン)

第3回report「現場での体験から学ぶ」 ゲスト:宮村連理さん(NPO法人緑のダム北相模/東京学芸大学附属小金井中学校教諭)、バハラム・イナンルさん(NPO法人PEACE&NATURE/環境活動家)、鈴木啓紀さん(パタゴニア日本支社)

番外編report「子どもたちの川での体験が、将来の川の保全へのきっかけになる。」 ゲスト:平工顕太郎さん(川漁師/結の舟代表)、渡部麻里さん(株式会社ランドウェルCHUMS広告宣伝部部長)

 

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「高麗川かわガール」さんの活動と真野博さんの受賞について複数紙と大学プレスセンターに取り上げていただいています。
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琉球新報さんに鹿谷麻夕さんの受賞について取り上げていただきました。