REPORT
”居場所”が育む3つの力|report:あえるSOLA#00
いろんな特徴のある人たちが出会い、
みんなで一緒に考えて、アイデアをかけあわせていくと、
みんなが「いいね」と思える、たのしいコトの芽が見えてくる
会える、和える、合える、”あえるSOLA”スタート!
ウォーミングアップの#00は、ロート製薬(株)CEO 付兼未来社会デザイン室長荒木 健史さんをゲストにお迎えして、ロートこどもみらい財団の取組みを伺いました。
参加者は、地域もお仕事も活動分野も所属も様々な約20名。荒木さんのお話を受けて、いろんな視点から出てくる情報や思いにもみんな興味津々、感心しきり。
最後に荒木さんからアウトドアでの人づくりについて、「自然教育から得られる非認知スキルはとても重要」とJOLAの活動の意義を後押ししていただきました。また、「いろんな方がこんなに積極的に発言されるオンラインミーティングは珍しくて、楽しかった。今日をきっかけにまたつながりができれば。」というコメントもいただきました。
荒木さんのお話を受けて、多様な参加者の想いが溢れ出したSessionの様子をレポートします!
一般財団法人ロートこどもみらい財団(2021.10.1設立)について 荒木さんのお話より
・ロート製薬のコーポレートアイデンティティ「NEVER SAY NEVER」。難しいからチャレンジする。
・人口減少が進む中、いろいろな悩みや問題を抱えている子供たちが多いという今の日本の社会でwell-beingを考えたとき、身体的な健康だけでなく、精神的な健康、社会的な健康が今後いっそう重要になってくる。キーワードは”居場所”-自分が安寧を感じられる場所-。“居場所”の多さは、自己肯定感や自己有用感、チャレンジにも大きく影響する。
・ロートこどもみらい財団の”居場所”が育む3つの力は、①個-自分らしさ、発見し探求し続ける力②眼-見極めの力、③Resiliency-心身に宿る再生力。
・財団のつくった”居場所”は、ロートシップというコミュニティ。ここに子どもたち=ME-LLOW(メロー:眼の芽とfellowをかけ合わせた造語)が登録する。スタッフが子どもたちの特性や置かれている環境などをよく聞きながら、次の活動につなげていく。自分のやりたいことがはっきりしている子へのメンターの紹介、逆に関心の幅が広かったり、無気力傾向の子にはいろいろな体験プログラム、学びの機会の提供など。興味関心が近い子どもたち同士が集まるしくみも企画している。
・子どもたちは関心の分野の情報だけでなく、大人たちの生き様を知りたがる。いろんな分野の方のお話は、その人の人生観、その先に得た学び、楽しさなどを知る機会にも。
・財団をつくるときも、過去に学校教育に馴染めなかったが、今メディア制作というかたちで自分の居場所を見つけた子と一緒に開発を進めた。
学校教育に馴染めない子どもたちのことに関する取組みや思いをみんなでシェア
・国立の青少年教育施設。林間学校などだけでなく、学校では個性を発揮できない子どもたちへのプログラムも実施している。自然というフィールド、非日常の空間で自分らしさを発揮したり、自分はこのままでいいんだということを感じてもらえるようなキャンプなど。ボランティアの高校生、大学生も子どもたちをサポートしながら自分らしさを積み上げていっている。
・コンタクトレンズ製造メーカー。子ども関連の取組みとして、ジュニア、ユース向けのサッカーの大会を開催したり、クエストエデュケーションに協賛したりしている。
・”居場所””のひとつとして公園も考えられる。もっといろんな人に楽しく使ってもらえるようにという趣旨で都市公園法も改正され、例えばカフェの設置などもしやすくなっている。保育所、学校、レストランなど近隣の別の施設とセットで使うなど可能性はまだまだたくさん!
・街だと子どもたちが集まる場所は有料の商業施設になりがち。もう少し公園も活用して、カフェなどもあって、学校が違う子たちでも語れるとか。外って気持ちがいいし、そういうところから派生していくこともあるかも。
・中学校の図書ボランティアをやっていた経験から、図書室は”居場所”のない子、不登校の手前の子たちがくることが多いと感じる。
・”居場所”の作り方は年代によっても違っていて、それがおもしろいなぁと思う。多世代でなにかやっていくのも重要なポイントかも。
・都市部と中山間地域では同じ問題でも取り巻く状況の違いがあるかも。いわゆる中山間地域で学校が遠くスクールバスで登校している場合、そのバスの時間に出損ねると親の送迎以外登校する手段がない。どこに出かけるにも、高校の通学でさえ、ほとんどが最寄り駅まで親の送迎が必要という状況だと、子どもたち同士でなにかする機会というのは少なくなってしまう。
・中山間地域で習い事の選択肢は少ないながらも、いろんな親がスポーツ教室などを開いている状況もあったりする。
・白川村の白川郷学園という義務教育学校では、学校運営協議会がうまく機能していて、学校の授業の中に地域の方が入っていくシステムができあがっていいかたちになっている。ただいわゆる「学力」というところで、もっと勉強を、という声も常にある。いろんな子どもがいる中で、学校で学ばせること、地域で学ばせることはなんなのか、考え続けている。
・東日本大震災で親御さんを亡くされた震災遺児に対しての奨学金支援を柱とするみちのく未来基金の取組み。学費の支援だけでなく、子どもたちに継続的に丁寧にかかわり、同じ境遇の子どもたちの横のつながりをつくることにも取り組んでいて、そこに大きな意味があると思っている。
・大人も子供も関係なく、同じような悩みを抱えているのでは。例えば人を失った悲しみなどは大人も子供もかわらない。JOLAの表彰も、俺たちで日本のアウトドアを切りひらくんだ!という子どもをサポートする、こどもJOLAはどうでしょう!?
・こういう場があって、自分の子どもがいわゆるスタンダードにはまらなかったとしてもなんとかしてやれるという選択肢を持てていることにすごく安心する。こういう情報にどのくらいのご家族がアクセスできるのか、それがあるだけで親の心の余裕も変わってくる。ちがっていてもいいんだな、という空気感をつくっていけるといい。
・孫世代の高校生と一緒に太陽光設備を作ったりしている。最初からは寄ってこないが、意味を説明したり、実際にやってあげたりしていると段々近づいてくる。親密になると家族の話や悩みごとも話してくれたりするようになる。利害関係がないのがよいのかもしれない。とにかく一緒に作業をするということがよい。
・子どもの”居場所”は社会全体で考えて行かないといけない。情報過多の状況や集団生活のコントロールの中で、つまづくのは大人も一緒。今は、メンタルワークバランスが重要になっている。PCやスマホと向き合う仕事や学校の環境のなかで、精神的にはけ口がなくなる。子どもたちが自然に接して自らのものの見方や考え方を育てたり、視野を広げていくことに役に立てるといいなと思っている。
・かつては、林間学校などもしっかりしていたし、親も先生も野外活動のスキルが豊富だった。社会が貧しいので学校が中心になって野外活動をするということが多かったが、今は違う。例えば夏休みのプール開放なども少なくなっていて必然的に”居場所”はなくなってしまう。
南極、ゲーム、漢字、科学実験、
アウトドア分野だけでなく、NPO支援に携わっている方、元保育士の主婦の方、出版者の社員さん、コンタクトレンズメーカーの社員さん、自治体職員の方、定年退職後新たなフィールドでご活躍の方