遠藤 隼
「とちぎから、生きもの豊かな里山を守る。」
サシバというタカの仲間をご存じですか。サシバは春になると南の国から本州へ渡ってきて、「ピックィー」と鳴きながら里山の大空を舞います。サシバが里山のシンボルと呼ばれる所以は、食べ物にあります。好物は田んぼなどにいるカエルたち。サシバが元気に暮らしていくにはカエルやそれを取り巻く生きもの豊かな田んぼが必要なのです。そこで、サシバの里自然学校では、サシバの住み良い環境づくりと生きもの豊かな里山の魅力を自然体験から伝える活動をしています。 さらに、仲間と共に栃木県内に点在する子ども向け自然体験活動を実施する団体同士をつなぐネットワークを作り、合同の自然体験会「キッズネイチャーフェス」を実施しています。参加する子どもたちには、様々な地域で活動している自然体験活動団体と出会う機会となっています。 私自身も数十年前、栃木県内の里山や小川でたくさん遊び、育ちました。学校が終わると友達と魚釣りや虫捕りへ。私が過ごしたあの頃の野遊びをいまの子どもたちも続けて欲しいのです。里山で楽しく過ごした経験を持つ子どもは、里山を次世代に残したいと思うのではないでしょうか。自分の子どもたちにも経験させたいと思うのではないでしょうか。私自身がそうなったように…。 子どもたちは、将来の里山を、サシバを、ひいてはこれからの地球環境を守る主役になっていきます。だからこそ、子どもたちには体験から地元の自然の魅力を知ってほしいのです。
手にとってじっくり観察することで新たな発見がある
サシバの好む谷津田を見下ろせる展望デッキ
田んぼや小川での生きもの探しはいつでも大人気
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遠藤 隼 ENDO JUN
サシバの里自然学校 校長/とちぎ子ども自然体験活動ネットワーク 共同代表
栃木県生まれ。大学卒業後、ホールアース自然学校職員として子どもキャンプやエコツアーを実施。退職後、さらなる世界をみるためにひとり自転車旅へ出発。2年かけてユーラシア大陸横断・南米縦断を果たした。帰国後、サシバの里自然学校を開校。2022年度まで宇都宮大学大学院在籍。研究テーマは「里山での幼児向け体験型環境教育の実践と評価」。