荻田 泰永
計画ではなく、感情に従い心を磨く冒険旅へ
旅や冒険とは、非効率で無駄で遊びの中に生まれるものです。

子供たちと旅を行うにあたって、効率よく意味のある体験をさせようと事前に計画を練るほど、効率や意味という「予定調和」の中に旅は矮小化していくという思いから、100マイルアドベンチャーにおいては「計画性を極力排除する」という考えを、2012年の第1回から守っています。

小学6年生限定の旅は一期一会。日本全国から集まってくる、初対面の子供たちとスタッフという、全員他人同士のチームは寝食を共にしながら、12日間の移動生活を送ります。真夏の炎天下、着替えや寝袋、食器などを詰めたザックを背負い、20〜25kmを歩く日々。毎年ルートを変えるため、スタッフたちも初めて訪れる土地で、事前の予測も立たず旅は楽しさと辛さの中に緊張感が生まれます。

厳しい暑さ、荷物の重さ、足の痛さ、そして仲間の存在。旅を通して、子供たちは豊かな感受性で世界を吸収し、これまで自分が知っていた世界の外側を体験します。未来ではなく、見逃しそうな何気ない「いま」の営みの中に、広い世界の入り口があることを教えてくれると信じ、小学6年生たちとの旅を続けています。
100マイルアドベンチャーは、計画ではなく感情に従う旅なのです。

-profile-
荻田 泰永 Ogita Yasunaga
北極冒険家
カナダ北極圏やグリーンランド、北極海、南極大陸にて主に単独徒歩による冒険を実施。これまで南北両極地を1万キロ以上踏破。2012年より小学6年生たちと日本国内を旅する100マイルアドベンチャーを開始。第22回植村直己冒険賞受賞。著書に「北極男」「考える脚」など。
