田口 房国
森林を開放して自然と人の結び目を紡ぐ

森林や木材の仕事に携わる中で、私は「森の価値は伝えなければ存在しない」という現実に直面してきました 。言葉を尽くすより、自ら木を伐り、土を踏み、焚き火を囲むこと。その直接体験こそが、人を育み、森の未来を守る力になると確信しています 。
私が展開する「フォレンタ」は、あえて不便さを残した森を年間契約で提供する仕組みです 。電源も水道もない環境で、雨に濡れた薪をどう燃やすか、風をどう避けるか 。こうした不確かさと対峙する時間は、効率を優先する現代社会で眠っていた「生きる知恵」を呼び覚まします 。一過性のイベントではなく、四季を通じて通い続けることで、自然体験は「非日常」から「日常」へと溶け込んでいきます 。
利用者が「自分だけの森」を持ち、愛着を育むプロセスは、いつしか「森を大切にする仲間」のコミュニティへと発展しています 。それは、山主や地域住民にとっても、自分たちの森が誰かの人生を豊かにしているという誇りを取り戻すきっかけにもなると思います。
私の使命は、森林を「コモンズ(共有財産)」として開放し、人と社会の幸福度を高める新たな文化を創ることです 。不便さを楽しみ、自然の営みを肌で感じる暮らし。その先に、次世代へ胸を張って引き継げる豊かな未来があると信じています 。
-profile-
田口 房国 Taguchi Fusakuni
株式会社シシガミカンパニー 代表取締役
1977年岐阜県東白川村生まれ。学習院大学物理学科卒業後、家業の(株)山共に入社し林業製材業に携わる。2007年同社代表取締役に就任。2020年から日本初のビジネスモデルとなる森林レンタルサービス「フォレンタ」をスタートし、18道府県37エリアでフランチャイズ展開(2026年2月現在)。2024年森林ベンチャー(株)シシガミカンパニーを設立し、同社代表取締役CEO就任。
