ジャパンアウトドアリーダーズアワード|Japan Outdoor leaders Award

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受賞者


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小倉宏樹

毎日が自然体験!日常の学びの場づくり

2004年設立のよみたん自然学校は、子供たちが自由に木登りできる大きなガジュマルの木がシンボルだ。海までは子供の足でも歩いて3分。校舎は伝統の赤瓦がのった木造の建物で、土間には赤土で築いたかまどがある。代表の小倉宏樹さんは、沖縄の原風景を凝縮したようなこの校舎で「つながる」「みとめる」「まなぶ」「つくる」の4つの理念を掲げた独自の教育を実践してきた。

「つながる」は、人と人、自然と人とのつながりの意識を高め感性を養うこと。「みとめる」は、人によって考え方や感じ方が違うことを理解し尊重することで、「まなぶ」は、ともに学び合う姿勢。そして「つくる」は、昔から引き継がれてきた伝統を大切にするとともに、未来に向けて新しいものを創り上げていこうという意志だ。

事業の柱は、3年保育の幼児の学校、小学生を対象にしたフリースクール、夏休み等の長期休暇期間のキャンプの受け入れ、沖縄銘菓・ちんすこう作り体験といった観光客向けプログラムの4つ。これらを並行して運営する。中でも大きな比重を占めているのが、月〜金の毎日、8時30分から14時30分まで開校する幼児と小学生の学びの場(フリースクール)である。

 

子どもにぶつかって得る学び

よみたん自然学校では、その日やりたいことを子供たちが自分で決める。小倉さんは言う。

「虫採りに行きたい子、海で遊びたい子といろいろ。登校前から決めている子もいますが、ほかの子のやりたいことを聞いてから決める子もいます。今日は○○ちゃんと一緒に遊びたいと言っても、子供はストレートに意思表示することもありますから、嫌だとはっきり言われることがある。遊び道具を取り合ったりすることもしょっちゅう。自分を守るために嘘をついたり、真意ではないのに馬鹿と怒鳴ったりすることもあります。でも、そうやってぶつかり合うことがとても大事。衝突は相手の気持ちの受け止め方を学ぶ貴重な経験なんですよ」

笑い、泣き、怒る。そのなかで子どもたちは心を開き、互いの違いを理解し合う。もちろん、思いを表現するのが苦手な子もいる。そんな子供の本音をどう橋渡しするか。あるいは起きたことに対してどう向き合うかは、スタッフにとっても人間力を試される試練だ。

毎週金曜日は振り返りの話し合いを行ない、失敗したことや判断に迷った事例などを共有し、みんなで最善の対処法を考える。その選択は絶対的な正解ではないが、答えのない問いに日々向き合わせてくれるという点で、子どもは自分たちにとって先生でもある。

出身は兵庫県神戸市。進学校から受験戦争を生き抜き、東京大学法学部を卒業した。いわゆるエリートコースだ。自然資源を活かしたよみたん自然学校の取り組みは、自分が受けてきた知識詰め込み型の教育に対する問いかけ、つまり新たな提案でもあるという。

 

自分で考え判断できる子どもに

「僕はもともと環境問題に関心がありました。環境問題って答えがありそうで、じつはまだない。あれば解決しているはずなんですよ。答えのない問題に取り組むには、よく考えて行動し、その結果を受けてまた考え行動することが必要です。
あるとき、ガジュマルの木に登ろうとしている子を見ていました。最初は掴まるところが見つけられなかったり、体勢が悪くなって足に力が入らなくなったりして、なかなかうまく登れませんでした。でも、ずり落ちたり、いったん降りてきたりしながら、何度も失敗を繰り返すうちに、だんだん上へと登れるようになっていきました。そんな感じで、毎日木登りに取り組みながら、その子なりにあれこれ考えたのでしょう。数日後には、ロッククライマーさながらに、いわゆる『三点確保』まで自然とやっているのです。
大切なのは、登れるようになったという結果よりも、こうやって試行錯誤する過程なのです。環境問題への取り組みも同じです。子どもたちには、こういう経験をたくさん積んで欲しいと思っています。そして、彼らが将来、環境問題を始め答えのない問題にどう取り組むようになるのか、とても楽しみです」

アウトドアが持つ教育効果を学術的に裏付けできれば、観念的に語られがちな自然体験活動を、もっと教育の中心部に据えることができる――。そんな思いから大学の先生と共同研究を行ない、自身も大学院に通い修士論文をまとめている。

「応援してくれている友人から、よみたん自然学校へ来るとコツコツ音が聞こえてくると冗談を言われたことがありました。コツコツ継続してきたことを認められたようで、うれしいです」

自身も、小さな取り組みを少しずつ継続してきたという自負がある。小倉さんは、これからもコツコツと実践を積み上げ、趣旨に賛同する人を増やしていきたいと淡々と語る。

取材・文/鹿熊 勤

-profile-

小倉 宏樹 Hiroki Ogura

よみたん自然学校 代表

1972年生まれ。神戸市出身。少年期のボーイスカウトが野外教育の出発点。東京大学法学部在学時は国際政治に興味を持つが、子どもキャンプのリーダー経験をきっかけに、教育が社会をより良くしていくとの想いを強く持つ。沖縄のNPO法人で研修生をしながら環境教育の手法や組織マネジメントを学んだ後、2004年よみたん自然学校を開校。日常の体験に意味があると赤瓦の古民家を学び舎に、3年保育「幼児の学校」、フリースクール「小学部」の平日学校事業を主軸に、週末イベント&長期休暇キャンプ事業、「ちんすこうづくり体験」の観光事業を行う。

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