2019年3月20日(水)に国立オリンピック記念青少年総合センター国際交流棟国際会議室にてJAPAN OUTDOOR LEADERS AWARD 2019(以下、JOLA2019)表彰式が開催されました。ファイナリストはじめ、青少年教育団体、協賛各社様を含めて全国から110名余りの方々にご出席いただきました。
運営委員長山田俊行(トヨタ白川郷自然学校長)の開会挨拶から、表彰式が始まりました。アワード開催にあたりご協力いただいた各団体やスポンサーの皆様へのお礼とともに、3年目を迎え全国各地から応募があり、アワードの認知度があがってきていること、生きる力を育んでいくためには、自然の中での体験が必要であること、「人を育てるのは人である」という信念のもと、引き続き指導者に光を当てるというアワードの趣旨が説明されました。
「JOLAの理念に共感し、3年前から支援をさせていただいています。私とアウトドアの出会いはYMCAでの経験でした。今思い起こすとその時の経験を通して学んだことがたくさんあります。今の世の中には少し寛容さが足りません。自然の中で、人間も自然の一部だということを考えることが、優しい社会を作り出す原動力になると思います。」
特別講演として、総合南東北病院外傷センター長 松下隆様よりご講演いただきました。
「外傷治療の目標は、どんな外傷でも確実に救命し、機能回復させることです。そのためには、なるべく早く、適切なタイミングで手術を行い、受傷直後から適切なリハビリテーションを行うことが重要になります。しかし、日本では外傷の治療が軽視される傾向にあります。外傷を受けた場合、直後に死亡する人を救うことはできませんが、1時間~4時間の間に適切な治療を始めれば、命を助けるだけでなく、機能回復を目指すこともできます。そのために大切なことは外傷を専門に治療する外傷センターを設立し、リソースを集約化することで、治療レベルの向上と専門医の教育を行うことができます。ドイツやイタリアでは先進的な外傷治療のシステムが構築されています。日本で同様の体制を作るのはかなり難しいものがあります。現在、福島で外傷センターを設立し、関係部署と連携しながら、外傷治療体制の理想に近づけるために活動しています。」
大学でキャンプに出会い、キャンプのスタッフを続けていく 中で、子どもと日常的に関わること、子どもがやりたいと思う ことが実現できるように支援することが大切だと考えるように なり、現在の幼稚園とフリースクールを運営しています。そこ では日々子どもたちが自分のやりたいことをまずやってみて、失敗を繰り返しながら学んでいくという姿を毎日見ています。
レイチェル・カーソンのいう「土壌を耕し、種をまく人」がここにいらっしゃるリーダーの皆さんです。私はもうすぐ90歳 になりますが、子どもの頃に自然の中で感じた楽しさを今でも感じることができます。その感性を磨くためには平和であることが重要です。センス・オブ・ワンダーは自然だけではなく、差別や平和など世の中の全てのことに通ずる感性なのです。
父・三浦雄一郎が先日、新元号に関する取材を受けました。それに対する父の答えは「正明」でした。前向きで何事にも明るく取り組む父は JOLAの理想を体現していると感じます。「正明」という言葉を聞いたとき、私が最初に連想したのは「生命」でした。皆さんの活動はたくさんの生命を育む活動です。皆さんの活動を応援しています。
左から
はじめに、U30 賞は徳田真彦氏が受賞しました。続いて残りの8 名に優秀賞が授与されました。特別賞は、浦田愛氏、宮村連理氏の 2 名が受賞しました。そして、大賞は萩原ナバ裕作氏が受賞しました。前年度大賞受賞者の小倉宏樹氏より表彰状、副賞30万円と各社からの賞品が授与されました。
この場にいるのも、20 年前にコバさん(小林毅さん)と出会ったことがきっかけです。これまでこのような賞とは縁がなかったので、今回の受賞はとても嬉しいです。これまでお世 話になった皆さん、同じくこの舞台に立っている皆さんともつながりを持ちながら、これからも頑張っていきたいと思います。
私はプロ登山家としてリアルを大切にしています。エントリーシートを読みながら皆さんとリアルに会ってみたいと思いました。今日この場にいる姿を見て間違いないと改めて思いました。みんなリアルな現場にいきています。原石に光を当てるのがJOLAの役割、その光をお互いに反射しあって世界を照らします。ここにいる皆さんでその光を多くの人に届けてほしいと思います。
私もJOLA2017でアワードをいただきました。審査の過程で、自分がちゃんとやっているか、改めて問われているように感じました。自然の中で自然を通した人づくり、似ている ように見えてみんな違っています。それが個性です。大学生 と接する中で、リアルな自然や暮らしに触れる機会が減っていることを実感しています。私たちの仕事はこれからもっと必要とされていると思います。
今日はおめでとうですが、賞はとってからが大変です。ぜひ頑張って欲しいと思います。ルーブリックに則って厳正に得 点化しましたが、得点だけではなく書類の行間を読みながら、見えない顔を思い浮かべながら審査を行いました。U30という新しい賞もできました。これからもアウトドアリーダーに光を当てていきます。ファイナリストの皆さんの今後の益々の活躍に期待します。
多くの方々にご出席いただき、レセプションパーティーが行われました。来賓の株式会社ベネッセコーポレーションの竹岡彰様よりオープニングスピーチをいただき、第1回アワード受賞者の白川勝信様に乾杯のご発声をいただきました。
JOLAファイナリストの皆様のご挨拶、山田俊行運営委員長によるJOLA2020の告知があり、最後にJOLAアドバイザーの加藤龍氏から中締めのご挨拶をしていただき終了となりました。ファイナリスト、関係者が集い、有意義な交流ができました。