
山田俊行|JOLA運営委員長
皆さん、こんにちは。本日は全国各地からJOLA2026表彰式にお集まりいただき、誠にありがとうございます。こうして今年も無事に開催できましたのは、サポーター企業の皆さまのお力添えあってのことです。心より御礼申し上げます。
毎年この場で「人を育むのは人である」とお話ししてきましたが、最近ではAIがさまざまな相談に応えてくれる時代になりました。確かに便利で、多くの方が活用されていると思います。しかし、それが本当の意味での「人づくり」なのかという問いは、改めて考える必要があると感じています。
嬉しい、楽しい、悲しいといった感情は、本来誰かに委ねるものではなく、自分自身で感じ取るものです。そうした五感や喜怒哀楽を自らのものとして育んでいくことこそが、人を育てるということではないでしょうか。
その力を最も引き出す場が、自然の中でのアウトドアだと私は思います。五感を使い、そこに人と人との関わりが生まれることで、感情が動き、経験が深まり、人の成長が加速していく。今日ここに集まっているファイナリストの皆さんは、まさにそうした人づくりの最前線に立つ方々です。
この後ご紹介する皆さんの活動を、ぜひ楽しみながらご覧いただければと思います。
野本智秀さん|株式会社ゴールドウィン(ザ・ノース・フェイス事業本部)
まずはファイナリストの皆さま、本当におめでとうございます。
私たちにとって「未来のための人づくり」や「体験の提供」は、ブランドとしても非常に大切にしているテーマです。今回のJOLAの取り組みや皆さまの活動には、その方向性に強く共感しています。
事前にファイナリストの皆さまとお話しさせていただく機会がありましたが、それぞれが明確なビジョンと実践を持って取り組まれていることに触れ、とてもワクワクする思いになりました。
この場で生まれたつながりを一過性のものにせず、これからの取り組みへとしっかりつなげていきたいと考えています。
改めまして、ファイナリストの皆さま、本当におめでとうございます。
八木澤 潮音さん|海あそび舎 代表
このたびは奨励賞をいただき、本当にありがとうございます。福岡で海辺の自然体験の場づくりをしている、海あそび舎の八木澤潮音です。
実は私は奈良県出身で、子どもの頃から海辺の暮らしに憧れてきました。今こうして海の近くで暮らし、その楽しさや面白さを地域の子どもたちに伝えられていることを、とても嬉しく感じています。今回の受賞を通して、ようやくスタートラインに立てたような気持ちです。
これまで海に関わる活動を続けてきましたが、海に触れる機会は年々減っていると感じています。海は楽しい場所であると同時に、怖いものというイメージも強くなっている中で、もう一度その魅力を届けていきたいという思いで活動を始めました。
JOLAには2年前にも応募させていただき、その際の丁寧なフィードバックに大きな励ましをもらいました。今回の受賞も背中を押していただいたと受け止め、これからも長く、30年先も続けていける活動にしていきたいと思います。本当にありがとうございました。
荻田 泰永さん|北極冒険家
このたびはこのような賞をいただき、ありがとうございます。
私は北極での冒険活動を長く続けてきましたが、今回エントリーしたのは、小学生とともに歩く「100マイルアドベンチャー」という取り組みです。毎年夏休みに、全国から集まった小学6年生とともに約160kmを歩く旅を続けており、今年で15年目になります。
初めて会う子どもたちがチームとなり、日々20km以上を歩きながらゴールを目指すこの旅は、簡単なものではありません。それでも続けてこられたのは、「楽しい」という気持ちと、仲間や支えてくださる方々の存在があったからだと思っています。
活動はこれからも続けていきますし、さらに広げていきたいと考えています。本日は本当にありがとうございました。
落合 美波さん|NPO法人ぐんま里山学校 校長
このたびはありがとうございます。群馬県で群馬里山学校というフリースクールを運営しています。
いま「不登校」という言葉が社会問題として取り上げられていますが、私はここに来ている子どもたちは不登校ではないと思っています。家から出られなかったり、車から降りられなかったりするところから始まる子どもたちが、窓を開けて手を振る、外に出る、里山の空気に触れるといった小さな一歩を重ねながら、少しずつ変わっていきます。
やがて一人で通えるようになったり、山に登りたいという目標を持ったり、驚くほどたくましく成長していく。その姿を日々目の前で見ながら、自分自身も里山の中で学ばせてもらっています。
田口 房国さん|株式会社シシガミカンパニー 代表取締役
このたびはありがとうございます。森林レンタルサービス「forenta」を展開している田口です。
私はアウトドアのスキルが特別にあるわけではなく、自分の山を一般の方に貸し出すという形で事業を行っています。林業や木材の仕事に関わる中で始めた取り組みですが、キャンパーの方々が森の中で思い思いに過ごし、ブッシュクラフトや遊びを通じて場を育てていく様子に、大きな可能性を感じました。
使われることで森が変わり、価値が生まれていく。その面白さを広げていきたいと思い、活動を続けています。
今回の受賞は、関わってくださっている皆さんと分かち合いたいと思います。本日はありがとうございました。
中山 千春さん|一般社団法人sol 代表理事
このたびは本当にありがとうございます。一般社団法人solの中山です。
今回で3度目の挑戦となり、ここに立てたことをとても嬉しく思っています。エントリーのたびに「なぜ自分はこの活動をしているのか」と問い直す時間になり、今回も改めて多くの方々に支えられていることへの感謝を強く感じました。
私は作業療法士として福祉の現場を経験した後、現在は自然と人、文化や地域を大切にしながら、障がいの有無や年齢に関わらず支え合える場づくりに取り組んでいます。インクルーシブな学びの場だからこそ、自然の存在は欠かせないと感じています。
多くの人と関わる中で、最も育てられているのは自分自身だと気づきました。これからもこの実践を続けていきたいと思います。
舟津 宏昭さん|NPO法人富士山アウトドアミュージアム 代表
皆さん、こんにちは。NPO法人富士山アウトドアミュージアムの舟津宏昭です。「ふなっちゃん」と呼んでいただけたら嬉しいです。
このような賞をいただけるとは思っておらず、まずは関係者の皆さまに感謝申し上げます。そして、この活動に関わってくれている子どもたちや支えてくださる方々、そして家族に心から感謝しています。
私の活動は「富士山をまるごと博物館にする」という発想から始まりました。自然の中にあるすべてを子どもたちと楽しみながら守り、未来につないでいきたいという思いで続けています。
もともとはただ富士山が好きという気持ちから始まった活動ですが、これからもその想いを大切にしながら、関わり続けていきたいと思います。本日はありがとうございました。
沖 浩志さん|合同会社アルコ 代表
このたびはこのような賞をいただき、ありがとうございます。
私は現在、ジビエの事業に携わり、イノシシの命をいただき食肉として届ける仕事をしています。もともと生き物が好きだからこそ、駆除されながらも活かされずに終わっていく命がある現状に強い違和感を持ち、この活動を始めました。
食べるということは、命を奪うことでもあります。その責任と向き合うことを、子どもたちにもきちんと伝えていきたいと思っています。実際に命をいただく現場に立つたびに、その重さを感じ続けていますが、それを伝えられるのは自分の役割だと考えています。
今回の受賞を機に、この想いをより多くの人に届けていきたいと思います。本日はありがとうございました。
田口 房国さん|株式会社シシガミカンパニー 代表取締役
このたびは本当にありがとうございます。
私はこれまで林業に携わってきましたが、自分の山を一般の方に貸し出すという取り組みは、これまでの価値観からすると“裏切り”とも言える行為だったと思います。大切に守ってきた森に外の人を入れることに対して、葛藤がなかったわけではありません。
それでも実際に始めてみると、森の中で人が過ごし、楽しみ、場が少しずつ変わっていく。その姿や地域の反応を見たときに、これからの時代に求められる森のあり方を改めて考えるようになりました。
伝統や文化、先人への敬意を大切にしながら、それでも未来に向けて何ができるのか。その問いに向き合い続けることが、自分の役割だと感じています。
今回の受賞は、その挑戦を後押ししていただいたように思います。支えてくれている仲間とともに、これからも取り組みを続けていきます。本当にありがとうございました。
落合 美波さん|NPO法人ぐんま里山学校 校長
まずはこの賞をいただき、本当にありがとうございます。明日里山学校に戻ったら、この賞を子どもたちに渡したいと思っています。私は毎日、牛やヤギ、ニワトリの世話をしながら子どもたちと外で過ごしていますが、もともとはインドアで、外が得意な人間ではありませんでした。大学時代のキャンプボランティアをきっかけに、自然の中で子どもたちが少しずつ変わっていく姿に出会い、この道を続けてきました。今こうして現場に立ち続けられているのは、家族の支えがあってこそだと感じています。
里山学校には、居場所を探している子どもたちがやってきます。最初は車から降りられない子も、少しずつ外に出て、人と関わり、気づけば見違えるようにたくましくなっていきます。私はずっと「あなたたちは不登校じゃない、自分でここを選んで来ているんだよ」と伝えてきました。でもどこかで、本当にそう言い切っていいのか迷いもありました。
今回この賞をいただいて、その言葉を胸を張って伝えていいんだと思えました。子どもたちに見せたら、きっと喜んでくれると思います。これからもこの場所を広げて、不登校という言葉がいらなくなる社会をつくっていきたいです。

ファイナリストの皆さん、おめでとうございます。
選考委員会を代表してお話しするのは少し躊躇するほど、今年も多様な視点から議論が交わされる、非常に濃い選考となりました。
また、今回ここに残らなかった方々も含め、これまで受賞された皆さんや、この取り組みを応援してくださっている方々は、かけがえのない仲間であり、大切な存在だと感じています。
いま、私たちが向き合っているのは、「自然体験が減っている」という単純な話ではないと思っています。
子どもたちは、自然に囲まれた地域にいても外に出ない。遊ばない。
それは、単に環境の問題ではなく、人と自然との関係性そのものが変わってきているということだと思います。
だからこそ、皆さんが取り組まれている「人と自然の接点をつくる」という営みは、単なる体験の提供ではなく、これからの社会のあり方を問い直す行為でもあるのだと感じています。
自然の中で何を感じ、誰と関わり、どんな価値観が育まれていくのか。それは生き方や社会のかたちにつながっていきます。
皆さんの活動は、レクリエーションにとどまらず、社会課題と向き合いながら、「どうすれば少しでもよくなるか」を現場で問い続けている。その姿勢に、強い意志と思想を感じました。
JOLAは、そうした実践に光を当てることで、個々の活動を応援するだけでなく、その背景にある価値観や問いを社会に共有していく場だと思っています。
ここにいる皆さん、そしてこれまで関わってきた多くの仲間とともに、それぞれの現場から挑戦を重ねながら、これからの社会を少しずつ形づくっていければと思います。
おめでとうございます。そして、この場を支えてくださっているすべての皆さまに、心より感謝申し上げます。

受賞された皆さん、本当におめでとうございます。
今回の大賞に選ばれた落合さんは、JOLA史上初の女性受賞者であり、最年少での受賞となりました。また、特別賞の田口さんをはじめ、それぞれの実践が非常に個性豊かで、改めてこのコミュニティの広がりと面白さを感じています。
今回、新たにファイナリスト6名と奨励賞1名が加わり、JOLAの仲間がさらに広がりました。次回はいよいよ10回目を迎えます。一つの節目として、これまでのファイナリストが集まるような場づくりや、より多くの方にこの取り組みを届けていく機会にしていきたいと考えています。
JOLAは、運営している私たち自身も毎回面白いと感じるほど、多様で魅力的な実践が集まる場です。その面白さを、これからも多くの方に伝えていきたいと思っています。
来年に向けて、皆さまのご協力とアイデアをいただきながら、さらに発展させていければ幸いです。
改めまして、本日はおめでとうございました。そしてありがとうございました。


