ジャパンアウトドアリーダーズアワード|Japan Outdoor leaders Award

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受賞者

堀直也

心意気の地域通貨『ビーチマネー』を運営

大学1年生のときに目覚めたサーフィンが、堀直也さんのその後の人生を変えた。海の遊びを通じ、子どもたちに自然という存在の意味を伝えよう――。エコサーファーという社名には、そんな意味が込められている。

「幼いころから海に親しみ、自然に対して畏敬の念を持つようになれば、大人になっても自然を壊すような選択はしない。これは私がハワイに数カ月滞在したとき、ローカルサーファーたちに教えられたことです。サーフィンというとファッション色が強い若者のスポーツというイメージを持つ人も多いのですが、本来は環境教育や哲学にもつながった、生涯型の深い遊びなんですよ」

堀さん自身が環境問題を意識するようになったのも、サーフィンがきっかけだ。

「大学時代は静岡県の海で遊んでいましたが、就職後はフィールドが湘南になりました。湘南といえばサーフィンの聖地ですが、気になることがありました。漂着ゴミが多すぎる。その圧倒的な量を見てふと思ったんです。これって、気持ちよくサーフィンができるとか、できないとかいうレベルを超えた、ものすごく大きな問題なんじゃないかと」

自分にできることは何か。まず始めたのがゴミ拾いだった。1年間、海岸で黙々とゴミを拾い続けてわかったことは、楽しくないということだった。

 

運動にはインセンティブも必要

「なぜ自分はこんなことをしているんだろう。いや、なんで自分がやらなきゃならないの?そんな気持ちになってくるんです。そのうち、手伝うよって声をかけてくれる人が現われたらいいなと期待していたんですが、そういうこともなし(笑)。視線から気にかけてくれていることは感じるのですけれど、活動の広がりに結びつきませんでした」

空気を読むことに敏感な日本人の性格の一端を見た気がした。そして悟ったのが、運動にはインセンティブ(意欲を引き出す刺激)が必要だということだった。サーフィンは楽しいけれど、そのフィールドを守るためのゴミ拾いは、使命感を持てば持つほどつらくなる。終わりがないからだ。どうすればゴミ拾いを楽しく長続きする作業にできるのだろう。

「そのとき、僕は転職してがんこ本舗というエコ洗剤のメーカーに就職していました。社長に相談すると、こうアドバイスをくれたんです。“じゃあ、海でゴミを拾ったついでに流木やビーチグラスも拾ってもらったらどう? うちの店に持ってきた人は商品を1割引きにするよ”と。面白いことを言うなと思っていたんですが、1年間やってみると、けっこうな反響がありまして。これ、会社の活動だけにとどめておくのはもったいないねということになり、ビーチマネーという地域通貨制度を立ち上げました。今から11年前の2007年です」

ビーチグラスとは、ガラス瓶の破片の角が波と砂に揉まれるうちに取れ、宝石のようになったものだ。ゴミと一緒に見つけたビーチグラスを、趣旨に共鳴する店へ持っていく。すると、さまざまな特典が得られる。これなら、孤独でつらいゴミ拾いが楽しくつながりのある保全活動になるはず――。

 

ハワイや台湾にも広がるビーチマネー

サーファー仲間に声をかけると、たちまち賛同の輪が広がった。たとえばパン店はパンを30円値引き。レストランではランチのドリンクが無料になる。旅館ではスタッフおすすめのお土産が1箱無料に。魚を1尾おまけでつけようという魚屋まである。アウトドア用品メーカーのパタゴニアの店舗では、ステッカーがもらえる。

「サーファーって楽しいことが大好きで、感性で動く人が多いんです。そして、みんな心の中では海の環境問題をなんとかしたいと思っている。その心意気を形にしたのがビーチマネーです」

提携店は、ハワイや台湾も含め150店を超えた。堀さんは2011年から伊豆半島の南伊豆町に引っ越し、サーフィンやシュノーケリング、小中学生を対象にした冒険キャンプを柱とした自然体験活動も始めた。都内の小学生を対象にした移動教室では年間約4000人を受け入れる。海が、川を通じて森や町、そして世界へもつながっていることは意識しにくいことだが、ゴミで説明すると子どもたちも即座に理解する。

「漂着ゴミは地球全体の問題です。ひとりひとりが行動を起こせるか起こせないかは、自然に対する愛着度で決まると思うんです」

そのためにも環境保全活動は楽しくなければならない。サーファーたちの心意気を、世界に通じるKOKOROIKIにしたいというのが、堀さんの夢だ。

取材・文/鹿熊 勤

-profile-

堀 直也 Naoya Hori

エコサーファー代表/ビーチマネー事務局長

1977年生まれ。神奈川県横須賀市出身。5人家族(8・6・4歳の子供)の父親。東海大学海洋学部卒業。2011年に神奈川県藤沢市から伊豆半島最南端の南伊豆町へ家族で移住し、数々の自然体験を展開。東京都杉並区の小学生を対象に年間約4,000名の移動教室のチーフガイド、母校である東海大学海洋学部環境社会学科の「海の環境教育実習」の特別講師も務める(※2011~2016年の5年間)。また、海をキレイにするビーチグラスの地域通貨”ビーチマネー”の事務局長も10年以上兼務。

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