ジャパンアウトドアリーダーズアワード|Japan Outdoor leaders Award

MENU

受賞者


Warning: Undefined array key 0 in /home/wadaichi/jola-award.jp/public_html/wp/wp-content/themes/jola/single-winner.php on line 23

Warning: Attempt to read property "slug" on null in /home/wadaichi/jola-award.jp/public_html/wp/wp-content/themes/jola/single-winner.php on line 24

Warning: Attempt to read property "name" on null in /home/wadaichi/jola-award.jp/public_html/wp/wp-content/themes/jola/single-winner.php on line 25

萩原・ナバ・裕作

価値観も年齢差も、混ぜることで学びになる

自然学校のインタープリター。オーストラリアでのエコツアーガイド。野生動物番組のディレクター…。萩原・ナバ・裕作さんの職歴は多彩だ。現在の仕事は岐阜県美濃市にある森林文化アカデミーの教員である。同校は林業や森林環境を軸にした実践的な学びが得られる2年制の県立学校。木や森のカリキュラムに特化した専修学校は珍しいが、さらにユニークなのは、敷地内が通年型の自主保育の場である森のようちえんと、週末プレーパーク(冒険遊び場)になっていることである。

森のようちえんとプレーパークは、運営の形こそ違うものの、理想の着地点は共通している。子どもを自然の中でものびのび遊ばせることで、自主性や思いやり、人間がまだちゃんと動物であることの証でもある五感を伸ばそうというものだ。

しかし、いつ何が起こるかわからないのも自然。ある程度のリスクは避けることができない。木に登れば落ちることもある。火や刃物を使えば火傷もするし、切り傷も作る。理想には共感できるが、責任という現実問題を恐れて実施に二の足を踏む管理者は少なくない。その意味で、県立の施設が率先的にこうした教育に取り組んでいる例は珍しい。この仕掛け人が萩原さんだ。

心が折れるくらいなら、骨が折れる方がまし

「森という場所は変化に富んでいて刺激がたくさんあります。しかも暮らしや文化ともつながっているので、教育には最高の場だと思います。僕たちはノコギリやナタ、ナイフも子どもに使わせます。こういうツールは子どもにとって魔法の杖のような存在で、すぐに夢中になって使い出し、いろんな遊びを発明していきます。なぜなら、こうした道具は手の延長として人間の創造力を生み出してきたものだからです。お母さんたちも最初はびっくり、ハラハラしどおしですが、そのうち慣れてきます。子どもの適応力を信頼できるようになってくるからです。

もちろんアクシデントはしょっちゅうあります。でも、ケガにもよいケガと悪いケガがあると思うんですよ。プレーパーク創始者のアレン・ハートウッド卿婦人はこう言っています。“心が折れるくらいなら骨が折れる方がまだましだ”と。

折れない心を育てるには、まずやらせてみること。自ら育とうとする衝動を大人の感覚で押さえないつけこと。ただし、よいケガになるか、悪いケガになるかは指導者次第でもあります。豊富な経験や判断力だけでなく、子どもたちひとりひとりの性格も熟知していなければなりません」

そのためにはフィールドの状況を常にチェック、毎年1、2回はリスクマネジメントの研修や野外救急法などの実践的講習を仲間とともに行なっている。これで完璧と思うこと自体に危険が潜んでいるので、つねに、いつなにが起きてもおかしくないという気持ちで臨んでいるという。

面倒なことから逃げないことこそ学びの基礎

こうした学びの場で重視してきたのが「混ぜる」という考えだ。

たとえば視点を混ぜる。森のなかには木や草花だけでなく、キノコもあればコケもあり、昆虫も鳥も住んでいる。姿は見えないが、目を凝らせば動物たちの痕跡も見つかる。目だけでなく、それらは耳や鼻、手触りでもわかる。そして森は水を貯え、木材や薪も提供する。

混ぜるというのはものごとを複眼的に見るということでもあり、見方を広く構えることによって森はたんなる遊び場ではなくなる。さまざまなことが感じられる場であり、暮らしにもつながっている空間であることが直感できるようになる。

「混ぜる効果はもうひとつあります。人です。幼児からお年寄り、立場、国籍などが異なる人たちが森で顔を合わせることで、いろいろな化学変化が起き、学び合いが生まれます。とくに子供たちの場合、多様な価値観に触れ、会話をすることで人間としての器が大きくなります。知らない人と話をするのはちょっと面倒だったり、勇気がいることです。中には気の合わない人もいるでしょう。仲良しグループだけで遊ぶのはたしかに楽ですが、面倒なことから逃げず、折り合い点を見つけていくことも人の成長過程には必要です」

プレーパークには、ゼロ歳児の参加者から、プレイワーカー(スタッフ)としては日本最高齢の86歳の人までが集まる。そこに森林アカデミーの学生たちが混ざることで、より大きな可能性を持つ理想的な学びの空間が生まれたと考えている。

取材・文/鹿熊 勤

-profile-

萩原・ナバ・裕作 Hagiwara Naba Yusaku

岐阜県立森林文化アカデミー 准教授

野外自主保育「森のだんごむし」 言い出しっぺ

1971年生まれ。埼玉県大宮市出身。幼少期は虫捕りに明け暮れ、ムツゴロウ(畑正憲さん)に憧れた。大学在学中に小林毅氏に出会い、インタープリターの道へ。その後、野生動物番組制作(オーストラリア&タンザニア)、エコツアーガイド(オーストラリア)を経て、2007年に岐阜県立森林文化アカデミーの教員に。野外自主保育「森のだんごむし」&「みのプレーパーク」言い出しっぺ。

お知らせ一覧

JOLA2024
2024.04.24
「高麗川かわガール」さんの活動と真野博さんの受賞について複数紙と大学プレスセンターに取り上げていただいています。
JOLA2024
2024.04.11
琉球新報さんに鹿谷麻夕さんの受賞について取り上げていただきました。
お知らせ
2024.03.25
JOLA2024表彰式 まとめ
JOLA2024
2024.03.23
南海日日新聞社さんが佐藤伸幸さんの受賞について取り上げてくださいました。
お知らせ
2024.03.18
JOLAファイナリスト・クロストーク 第13回の様子をYouTubeチャンネルにアップしました。